田口・白鳥初期三部作読了

ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)ジェネラル・ルージュの凱旋(上) (宝島社文庫)
(2009/01/08)
海堂 尊

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「チーム・バチスタの栄光」シリーズです。順番的には、「バチスタ」→「ナイチンゲールの沈黙」→「螺鈿迷宮」→「ジェネラル・ルージュの凱旋」なのですが、「螺鈿迷宮」はスピンオフ作品なので敢えて飛ばして、バチスタ→ナイチンゲール→ジェネラル・ルージュの順番で読みました。

2作目の「ナイチンゲールの沈黙」がつまらなかったので(バッサリ!)、これも1作目を超えることはないだろうなぁと思いながら読んだのですが・・・。

最高に面白い!!

海堂氏が読みやすい娯楽小説という手法を使って市井の人々に伝えたい医療現場の現実的な問題点や矛盾、医療行政の在り方がとてもよく理解できました。実際バチスタやジェネラルルージュで取り上げられたAI(エーアイ)という死亡時画像診断は実用にむけて動き出しているそうです。というか、このAI普及のために小説を書いているんですよね。素晴らしいライフワークの展開です。

さて、「ジェネラル・ルージュの凱旋」ですがバチスタの様な殺人事件やナイチンゲールのようなSFファンタジーは出てきません。(そこがとっても良い)救急医療をテーマに息をつかせぬスピード感、スリリングな展開にぐんぐん引きこまれました。まさにメディカル・エンターテイメント、その上リアル。読んでいて画像が浮かんでくるような作品です。起承転結がきっちりしているのもすごく良い。バチスタの桐生助教授も、ジェネラルの速水部長も結果として病院を去ることになってしまうけれど、医療(患者)に対する真剣過ぎるほど真面目な気持ち。助けたい、というまっすぐな気持ち・・・それが空回りしてしまう哀しさ、切なさ。こんなお医者さまばかりだったらなぁ・・・と思う一方、速水部長の下でストレスを溜めて爆発してしまう佐藤医師や、もう読んでるだけでイライラしてくるエシックスの沼田医師のような人。こういう人が実際にいるのもまた現実なんですよねー。

「収益だって?救急医療でそんなもの、上がるわけがないだろう。事故は嵐のように唐突に襲ってきて、疾風のように去っていく。在庫管理なんてできるわけもない。小児科も、産婦人科も同じ。現在の経済システム下では医療の根幹を支える部分が冷遇されている。俺たちの仕事は警察官や消防士と同じだ。トラブルが起こらなければ単なる無駄飯食い。だからと言って国家は警察官や消防士に利益を上げることを要求するか?そんな彼らに税金という資源を配分することを市民は拒絶するか?」

地元の都立小児病院も廃止される予定で反対の署名運動をしているのをよく見かけます。病院の独立行政法人化で収益を上げなければいけない病院経営の現実。速水部長が言うように、収益を上げることがメインになってしまうのは病院という性格上やはり問題かと。だけど、どうしたらいいんだろう・・・?

いやいやそれにしても速水部長、最っ高にかっこいいです。その上、独身だったのか・・・ラストシーン。東城大学病院を去る速水部長と花房看護師長。南と北に分かれるのかと思いきや・・・ぐわしっ、「長い間、待たせたな」って・・・。
うぉー、ワタクシ号泣でございます。
私もハヤブサ看護師長になりたい!なりたい!!なりたい!!!

お友達が救急病棟の看護師さんなのだけど、こんなハードな世界で毎日生きているのかと感心しながら読みました。かっこいいな~(そんな一言で片付けちゃいけないとは思うけど。)自分の体にも気を付けてお仕事頑張って下さい!!そして、素敵な先生を紹介して下さいね。(きら~ん

ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)ナイチンゲールの沈黙(上) (宝島社文庫 C か 1-3 「このミス」大賞シリーズ)
(2008/09/03)
海堂 尊

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もともと、この「ナイチンゲールの沈黙」と「ジェネラル・ルージュの凱旋」は1作品だったのだけど、あまりにも長すぎるという事で編集者のアドバイスで2作品に分けられたのだそうです。映画化されていないことからもわかるように、はっきり言って面白くないです。展開が読め過ぎちゃうんです。犯人もすぐわかるし。。。音楽によって映像が見えたり、悪意の感情が増幅されたり、といった設定がSFチックだし、人気歌手と特殊な才能を持った病棟の歌姫(看護師)とか安っぽいし、解剖のようなバラバラ殺人の意味とか説得力ないし。でも、これを飛ばしてジェネラルに進むことはお勧めできません。伏線がいっぱいですから。

ただ、白血病で亡くなる運命の由紀と両目眼球摘出でも、手術すれば生きられる瑞人のやりとりにはぐっとくるものがありました。
「自分の命を粗末にする人からの贈り物には何の価値もない。人は自分が一番大切にしているものを、大切な人への贈り物にするの。あなたの大切なものはなに?それを私にちょうだい。」

私も長期入院するような事があった時には由紀みたいに「失われた時を求めて」を読もう。‘紅茶にふやけるマドレーヌ’より先に進めるかな?

2009/06/23(火) | 読書 | トラックバック(0) | コメント(0)

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