4つの短編からなる1冊。本屋で平積みになっていたのでふと手にとってパラパラとめくってみた。その透明な文体に惹かれて読んでみることに。
期待通り面白かった。4編ともちょっと神経質な二十歳前後の女の子の視点で語られていて、男性が描く少女像らしく、ちょっと苦笑しちゃう感じもなくもないけど。(そこだけ、生々しすぎるんだよねー)4作それぞれに与えられたイメージカラーと相まって、純粋で切なくて、ハッピーエンドじゃなくても未来へとつながっていくようなお話。変に力を込めて頑張るぞ!って思わなくてもほんわかと先が明るく見えるような。
どのお話も良かったけど、1つめの「キャトルセプタンブル」について。
主人公理沙が母親の若かりし頃の短くも忘れられない恋の思い出話を聞き、その優しい思い出に恋を失った自分自身もまた励まされ、迷いの中から一歩を進めることができるようになる。(すっごいかいつまんでます!)
この作品には仕掛けがあって、もうひとつのアンサーストーリーがあったのです。(順番的にはこっちが答えなのかな。)
「キャトルセプタンブル」のサイドストーリー、「九月の四分の一」
「キャトルセプタンブル」で理沙に語られた母親の恋のお話の詳細が相手の男性の視点で描かれます。うーわー、すっきりした(笑)こっちはこっちで完結しているので、ぜひ「キャトルセプタンブル」→「九月の四分の一」と読んで欲しい。ちょっと「冷静と情熱のあいだ」の赤と青みたい。
こちらの短編集は中年男性の視点で青春時代を懐古するように語られる4つの物語。断然、こっちの作品の方が今の私には共感できる。作者が男性の視点の方がリアルに描きやすいのか、私自身が20歳の女の子より40歳の男性の方に共感できるのか、どっちかわからないけど・・・。お話のアクセントに音楽が使われていて「九月の四分の一」にはアバの「ダンシングクィーン」や「チキチータ」が出てきます。「ダンシングクィーン」はスウェーデン王と王妃の結婚披露宴で初めて演奏されたんですって。(だから‘Queen’なのかな?) もうじき「マンマミーア!」開幕ですねぇ〜(はっ!脱線。)
「ケンジントンに捧げる花束」もとても印象的な作品でした。キリン通貨で私は今どの位だろう?(笑) 暴落していないといいな。暴落してそうだけど。
音楽や色彩、光・・・それらが醸し出す文章の空気感が魅力の大崎作品でした。